原発性アルドステロン症は薬でも治療できる


 

原発性アルドステロン症の治療の選択肢」でお話ししましたように、(一側性)原発性アルドステロン症の根本的な原因は副腎に出来た腺腫です。

 

腺腫→アルドステロンの過剰分泌→合併症(高血圧、低カリウム血症など)

 

ですので、手術によって腺腫を取り除くことが、合併症も含めた抜本的な治療となります。

 

ただし、高齢者や心臓・腎臓が悪い方、あるいは手術を望まない患者もいます。

そういった患者でも薬物治療によって健康を維持することは可能です。

つまり、腺腫はそのまま残るが、薬によってアルドステロンの分泌量を抑える、血圧を下げる、カリウムの排出を抑える、という治療が可能なのです。

 

すでにお話ししましたように、高血圧に対しては降圧剤、低カリウム血症に対してはカリウム製剤で治療します。

そして、アルドステロンの過剰分泌についてはアルドステロン拮抗薬で治療します。

 

アルドステロン拮抗薬の種類と副作用

 

アルドステロン拮抗薬とは、腎臓などアルドステロンが働く場所でその作用をブロックする薬です。

原発性アルドステロン症患者に対して、このアルドステロン拮抗薬を投薬することでアルドステロンの過剰分泌が抑えられます。

 

アルドステロン拮抗薬には2種類あります。

 

1 スピロノラクトン(アルダクトンA)

2 エプレレノン(セララ)

です。

 

両者を比較してみましょう。

 

アルダクトンA

 

メリット

① セララに比べて安価

② 服用量の調整範囲が大きい

 

デメリット(副作用)

男性ホルモンの作用を弱めるため、長期間服用すると男性の女性化乳房という副作用が生じる

 

薬物治療は一生続けなければなりません。

女性のように胸が大きくなっていくというのは、男性にとっては結構つらいですよね・・・

 

セララ

 

メリット

① 特異的にアルドステロン作用をブロックするので、女性化乳房の副作用はほとんどない

 

デメリット

① アルダクトンAに比べると費用が高く、また(現時点では)ジェネリックもない

② カリウム製剤との併用ができない(低カリウム血症患者に使うことは難しい)

 

薬の作用・副作用を知っておこう!

 

薬物治療を受ける場合、どちらの薬にするかは基本的に医者が選ぶことになるでしょうが、医師の判断を鵜呑みにするのではなく、処方される薬の作用・副作用を十分に理解したうえで服用することが肝心です。

原発性アルドステロン症に限った話ではありませんが、自分の体に入れる薬がどんなものなのかはちゃんとわかっておきましょう。

 

⇒続いて「原発性アルドステロン症の検査体験ブログ