2106年2月3日
泌尿器科での検査を終えた後、循環器内科に向かった。
前回受けたADH(バソプレシン)検査の結果を聞くためだ。
尿崩症とは?
「頻尿の原因としては尿崩症も考えられますね?」
「ニョウホウショウ?」
C病院での受診に先立って原発性アルドステロン症に関してはある程度勉強していた私ではあるが、T医師の口から出た「ニョウホウショウ」という言葉は初めて聞いた病名だ。
「脳下垂体から尿量を調整するホルモン(バソプレッシン、または抗利尿ホルモンともいう)が出ます。しかし、このホルモンの分泌機能に障害をきたす尿崩症になると尿の量が極端に増えるという症状が出ます。あなたの頻尿もそれが原因かもしれない。探ってみる価値はある。検査は簡単。血液を採取してホルモンの値を測るだけ。やってみましょう」
ということで受けることになったADH(バソプレシン)検査。
わけもわからず、検査を受けた私。
確かに簡単な検査だった。
普通に注射で採血されるだけ。
どうということもない。
ただ、採られた血液がいつもと違う検査を受けるだけなのだ。
そして今日、T医師からそのADH(バソプレシン)検査とやらの結果を聞くことになっているのだ。
ADH(バソプレシン)検査の判断基準は?
「失礼します」
例によって簡単に挨拶して静かに診察室に入る私。
例によって机の上の書類に目を通しているT医師。
「え~、のび助さんですね。前回の血液検査の結果ですが・・・」
「・・・」
「尿崩症の疑いはないようですね。」
「そうですか・・・。あ、ちょっと検査結果のデータを教えてもらえますか?」
「ああ、いいですよ・・・」
T医師はモニター画面から数字を紙に写し取った。
ADH 0.8pg/ml
「ADHの量は0.8pg/ml。これは正常範囲内です」
「あの・・・先生。基準となる数字はどれくらいなんですか?」
「ああ、基準ね・・・・。ちょっとそこは私にとって専門外なんで正確なことは言えないんですね。あの、次回までに調べてお伝えしますので、それでいいですか?」
「わかりました。お願いします」
私自身も尿崩症に関する知識は全く持ち合わせていないので、検査結果を聞いてもその数字の示す意味がさっぱりわからなかった。
しかし、とりあえず「ADH 0.8pg/ml」と書かれたメモは持ち帰ることにした。
心因性?シェーグレン症候群?
「まあでも尿崩症の疑いはないと専門の先生から聞いています。だから頻尿の原因は他を探るべきでしょう。まず可能性が高いのが心因性ですね」
「シンインセイ・・・。つまり心理的なものということですか?」
「そうです。これは結構多いんですよ。ストレスを感じると水を飲みたくなる。水を飲むから尿の回数が増える」
「はぁ・・・。自覚はないですけど。可能性としてはあるんでしょうね」
「それから、他の可能性としては唾液の分泌量が少なくなる病気(シェーグレン症候群)も考えられますね。唾液が少ないから喉が渇く」
「はぁ・・・」
「そこで次回は口腔外科で唾液の分泌量を調べてみましょう。それから今後少し飲水量を制限してみましょうか。それで体に問題がないか試してください」
「飲水量を制限するというのは・・・、つまり心因性の口渇であることを前提として、ということですか?」
「そういうことです。飲水量を制限してそれで体に問題がなければ、それで頻尿は治ります。心因性であれば。目標は通常人の飲水量。大体1日に2リットル以内ですね。」
「わかりました。やってみます」
やってみます、とは言ったものの、全く自信はない。
というか、やる気はほぼない。
だって、実際に喉が渇くんだから。
それも喉の奥のほうからカーッと火が付いたような喉の渇きなのだ。
とにかく次回は口腔外科を受診することになり予約を入れた。
そして、飲水制限をする約束もしてしまった。
病院で支払いを済ませ、薬局によって降圧剤をもらい家に帰った。