原発性アルドステロン症の外科的治療の種類
原発性アルドステロン症の原因が片側の副腎にできた腺腫である場合、治療方法の第一選択肢は外科的手術となります(「原発性アルドステロン症の治療の選択肢」参照)。
そして、この手術にも二通りあります。
開腹手術と腹腔鏡下手術です。
一昔前まではもっぱら開腹手術を行っていましたが、近年では腹腔鏡下手術が主流です。
開腹手術とは、文字通りお腹を切って開いて副腎を摘出する手術です。
腹腔鏡下手術とは、お腹の中に炭酸ガスを入れて膨らませ、お腹の表面に数個の穴を開け、そこから細いカメラと手術用の器具を入れ、そしてカメラの映像を見ながら器具を操作して副腎を摘出する手術です(腺腫の部分切除を実施している病院もあります)。
開腹手術と腹腔鏡下手術の比較
手術時間に関しては、開腹手術と腹腔鏡下手術とでほとんど変わりません。
ですが、出血量、合併症の発生率、周術期死亡の確率、平均入院日数に関しまして、腹腔鏡下手術の方が若干ではありますが、少なくなります。
また、腹腔鏡下手術の方が傷口が小さくて済む、手術による体への負担が少ない、術後の回復が早いといった大きなメリットがあります。
ですので、手術をする場合には、医師は腹腔鏡下手術を勧めるはずですし、患者としても腹腔鏡下手術を選択すべきです。
ただし、腺腫が大きい場合や、腹膜の癒着がある場合には開腹手術に変更されるケースもあります。
腹腔鏡下手術に要する時間
腺腫の大きさなどにも左右されますが、大体2~3時間程度で終わるようです。
腹腔鏡下手術の出血量
大体50~150mL程度のようです。
通常のケースであれば、輸血は不要です。
腹腔鏡下手術による合併症
傷口が少なくて済む腹腔鏡下手術であっても、副腎周辺の血管や他の内臓を傷つけてしまう可能性はあります。
そして、傷つけてしまった場合、そこから細菌に感染するリスクはあります。
また、高齢者や高血圧の時期が長い患者の場合には、手術後に腎臓の働きが低下するケースもあるそうです(アルドステロンによる循環血漿量の増加により隠れていた慢性腎臓病が、手術後のアルドステロン低下によって顕在化する)。
そのため、手術後は過度の減塩は避け、脱水症状を起こさないように注意しなければなりません。
腹腔鏡下手術の入院日数と費用
入院は大体1週間程度。費用は20万円程度です。
詳しくは「原発性アルドステロン症の検査のための入院日数、費用」を参照してください。