2016年6月25日

 

C病院での最後の診察が終わってからおよそ1か月が経過した。
C病院で処方してもらったカルデナリン、ジルチアゼム塩酸塩R、アルダクトンAの残りが少なくなってきたので、私はかかりつけのK循環器内科に来ていた。
K循環器内科にかかるのは約半年ぶりのことだった。

 

「先生、ご無沙汰しております」

「いや~、色々大変だったみたいだね~」

「え?」

「C病院からお手紙が来ていてね・・・結構時間をかけて検査したみたいだね~」

「あ、はい・・・」

 

C病院での検査の結果を詳しく説明しなければならないと思っていたのだが、K先生はすでに詳細を把握しておられるようだ。

 

「結局原発性アルドステロン症という診断になったようだね」

「ええ、そうなんです」

「それで、お薬で治療していくことにしたんだね」

「はい。検査結果としては一応陽性だったのですが、数字として微妙で積極的に手術は勧めないと担当医に言われたものですから・・・」

「そう・・・まぁお薬をきっちり飲んでいけば血圧もホルモンもコントロールできますからね」

「はい。そういうわけで、またこれからもお世話になることになりました(ペコリ)」

「はっはっはっ」

 

先生は笑いながら私の右腕を撮って血圧を測り始めた。

 

K先生は70代後半くらいの大ベテランの医師で、背はさほど大きくはないが横に膨らんでいて、顔が四角く笑顔が優しい。
どことなく私の父に似ている。

 

「え~、上が138。下が90。下がちょっと高いね~」

「あ、そうですね。大体いつもそんな感じです」

「それで今飲んでいる薬はと・・・カルデナリン、ジルチアゼム塩酸塩R、アルダクトンA・・・」

「はい」

「で、どうしよう?また以前出していたテノーミン、フルイトラン、ブロプレスも出しますか?」

「あ、いえ、先生。カルデナリンとジルチアゼム塩酸塩Rだけで大体さっき測ったくらいの血圧なので、降圧剤はこの二つだけにしたいなと思っているんですけど・・・・・どうでしょうか?」

「ああ、血圧がコントロールできているのであれば、良いと思いますよ。ではその2種類を朝と夜飲むということでいいですね」

「はい。あと、それからアルダクトンAも続けようかと思っていますが・・・」

「では、それも出しておきましょう。」

「はい、お願いします」

 

今日はこれでいいですよ、とK先生は優しく微笑んだ。
ありがとうございました、と私は頭を下げて診察室を出た。

 

K循環器内科で治療費の支払いを済ませた後、処方箋を持って近くの薬局に行った。
歩いて1分もかからないところに薬局はある。
この薬局に来るのも半年ぶりだ。
私はK循環器内科から手渡された処方箋に目を通すことなく、薬局の受付に提出した。
待つこと約5分。
「のびさん」と呼ばれて私は受付に薬を受け取りに行った。

 

3種類の薬が用意されていた。
それはカルデナリンとアルダクトンA、そしてヘルベッサーだった。

そう。
ジェネリック医薬品であるジルチアゼム塩酸塩Rではなく、その先発医薬品であるヘルベッサーが出てきたのだ。

大病院であるC病院ではジルチアゼム塩酸塩Rが処方されていたのだが・・・
K先生はジェネリックは出さない主義らしい。

 

 

結局、薬の数、種類が少し変わっただけで、また以前の生活が戻ってきた。
でも、私は原発性アルドステロン症だ。
そういう結果が出たのだ。
これからは今まで以上に健康に気を付けて節制しなければならない。
薬だけに頼らずに、自らを律して長生きできる生活習慣を身につけなければならないのだ。
そんなことを考えながら、私は家路についた。

この時の私は、数か月後にまた新たなる検査を受けることになるなど知る由もなかった・・・