低カリウム血症は原発性アルドステロン症の典型的な症状です。
そのため、従来は血液検査で血清カリウムの数値が低い患者だけが原発性アルドステロン症の検査対象とされてきました。
しかし、近年では血清カリウム値が正常であっても原発性アルドステロン症である患者が多く存在することが分かってきたのです。
血清カリウムの値と原発性アルドステロン症の関係性
「本態性高血圧?二次性高血圧?そして原発性アルドステロン症とは」でお話ししましたように、原発性アルドステロン症とは副腎にできた腺腫が原因となってアルドステロンというホルモンが過剰に分泌される病気です。
そして、アルドステロンが過剰に分泌される結果、体内に水分、塩分が必要以上に取り込まれ、カリウムが必要以上に排出されます。
その結果、原発性アルドステロン症患者は低カリウム血症を呈し、手足のしびれや筋力低下などを併発することになるのです。
血清カリウム濃度の検査は難しい!
ところが、血清カリウムの濃度を調べる際、様々な要因の影響を受けて高い値を示すことがあります。
例えば、採血時の手の筋肉の収縮・伸展によって血清カリウム値が上昇することがあります。
また、採血時に臥位(がい)、つまり寝た状態から立位へと変わった際に血清カリウム値が上昇することがあります。
要するに、採血時にちょっと動いただけでも血清カリウムの値は上がってしまうのです。
また、溶血(赤血球からの遊出)により血清カリウムが上昇することもあります。
このように、血清カリウムの濃度を正確に測ることはとても難しいのです。
そのため、血清カリウム値が正常であるにもかかわらず、スクリーニング検査をしてみると原発性アルドステロン症であることが判明するというケースがとても多いのです。
具体的には、原発性アルドステロン症患者の中で低カリウム血症を呈する割合は約25%に過ぎず、残りの75%は正常カリウムの患者であるというデータも報告されているそうです。
参照 「もっとわかりやすい原発性アルドステロン症診療マニュアル」
疑わしければとにかく原発性アルドステロン症の検査を受けよう!
専門医ではない医者の場合、血液検査をして血症カリウムの値が低くなければ原発性アルドステロン症の可能性を排除する方も多いようです。
ですが、カリウムの値が低くなくとも原発性アルドステロン症である可能性は十分にあります。
原発性アルドステロン症を疑わせる他の症状がある人は、専門医に検査をしてもらうことをお勧めします。