副腎CT、副腎静脈サンプリングの補助的検査

 

一側性か両側性かを診断する局在診断法の種類」でお話ししましたように、原発性アルドステロン症の局在診断法としては、まず副腎CTで画像診断をし、それから副腎静脈サンプリングを実施するのが通例です。

 

しかし、患者によっては副腎CTができなかったり(アレルギーが原因で造影剤が使えない)、副腎静脈サンプリングが失敗するケースもあります(カテーテルで細い血管をたどって副腎の血液を採取するという検査はなかなか難しく、成功率は9割程度だそうです)。

そういった場合の補助的検査として実施されるのが副腎シンチグラフィです。

 

副腎シンチグラフィの診断の精度は決して高くはありません。

しかし、副腎静脈サンプリングに失敗した場合、副腎腺腫の機能(アルドステロンを過剰に分泌する原因となっているかどうか)を調べる手段は現状では副腎シンチグラフィしかありません。

ですので、手術が可能かどうかを調べるためには、この検査をするしかないのです(ただし、この検査を実施している病院は限られています)。

 

副腎シンチグラフィの原理

 

副腎シンチグラフィとは副腎皮質の機能病変の局在を同時に評価できる検査です。

検査ではアルドステロンの原料となるコレステロールを放射性ヨード(アイソトープ)で標識した物質を注射で静脈内投与します。

すると、アルドステロンを過剰に分泌する腺腫が存在する場合、その腺腫が存在する側の副腎でアイソトープの取り込みが増加します。つまり、右と左の副腎でのアイソトープの取り込み量に差が表れるのです。

このような現象が見られた場合、病変がある副腎を特定できるので、病変がある副腎の摘出手術という選択が可能となるのです。

 

副腎シンチグラフィは、前処置と検査に時間がかかる

前処置

 

上述したように、副腎シンチグラフィは病変側の副腎と健常側の副腎へのアイソトープの取り込み量を比較する検査です。

この診断の精度を高めるために、前処置としてデキサメタゾンというステロイド薬を服用して健常側の副腎へのアイソトープの取り込みを減らします。

また、アイソトープが甲状腺に取り込まれることを防ぐために、前処置としてヨードによる甲状腺ブロックを行います。

これらの前処置を撮影の約1週間前から毎日行います。

 

検査

 

前処置が終わるといよいよ検査の実施です。

上述したように検査では、コレステロールをアイソトープで標識した物質を静脈注射します。

そして、アイソトープの取り込み具合を確認するために副腎を撮影するのですが、副腎にアイソトープが集積するまでには時間がかかります。

そのため静脈注射後3日目、5日目、7日目にそれぞれ10分間の撮影をします。

必要があれば10日目に撮影することもあります。

 

外来で実施可能

 

このように、前処置に約1週間撮影に1週間から10日ほどかかります。

副腎シンチグラフィは結構面倒な検査なのです。

ただし、通常、入院の必要はありません。外来診療で実施できます。

 

費用

 

副腎シンチグラフィにかかる費用は実施する病院によって異なりますが、大体2万円程度のようです。