2016年5月25日
半年かけて実施してきた原発性アルドステロン症の検査、診察もいよいよ今日が最終日だ。
すでに自分の中ではこれ以上の検査(副腎静脈サンプリング)はしないことに決めている。
だが、私はけじめとしてT医師の診断を受けることにした。
予約時間である11時半の30分前に病院について受付を済ませる。
待つこと約2時間
午後1時を過ぎても一向に私の番号は呼ばれない。
いくらなんでも待たされすぎだ。
腹も減ってきた。
私は我慢できずに受付スタッフの元へ行った。
「あとどれくらいかかりそうですか?30分以上かかりそうであれば食事に行きたいのですが・・・」
「ちょっとお待ちください・・・・・あ、30分はかかりそうですね。食事に行かれて大丈夫です」
2時間待った上に、さらに30分以上かかるのか・・・。
仕方がないので私は病院内の食堂に行った。
メニューはいつも通り。
特に食べたいものもないので定食を頼んだ。
例によって不味くはないが上手くもない定食だった。
昼食を済ませて待合室に戻ってきてしばらく待っていると、ようやく私の受診番号が呼ばれた。
やれやれ、と私は腰を上げて診察室の前に歩いて行き、ノックをせずに診察室に入った。
「よろしくおねがいします」
診察室に入ると、相変わらずウンパ・ルンパは、いやいや、T医師は机の上の書類に目を通していた。
「結果を見ました。3つの機能確認検査のうちで2つが陽性。つまり原発性アルドステロン症という確定診断がついたことになります」
T医師は私の目を見ずに、検査結果を見ながら淡々と言った。
そして、「今後は主治医と相談して手術をするかどうかを決めるように」と、今度は私の目を見ながら言った。
「あの・・・主治医というのはT先生ではなくW先生ということでしょうか?」
「そうですよ。検査を担当したのがW先生なのでW先生が主治医となります」
いつのまに主治医が入れ替わったのだろう?
手術をしてみるのもいいし、やらなくてもいい。
あなたの場合、カリウムは高くないし、治療抵抗性高血圧でもない。
口渇、頻尿も原発性アルドステロン症が原因ではない。
このまま降圧剤で血圧をコントロールするもよし。
手術をするもよし。
ただ、手術をしても高血圧が治る保証はない。やってみなければわからない。
等といったことをT医師は矢継ぎ早に私に向かって一方的に話した。
なんというか、質問は受け付けないぞ見たいな空気がそこにはあった。
すでに手術はしないと私は決めていたのだが、こんな感じで話されると逆に聞かずにはいられなくなった。
「この検査の数字を見て、先生はどう思われますか?」
T医師はいったん目をそらし、そしてまた私の目を見てこう言った。
「ん~2つの検査で陽性という結果が出ているので、原発性アルドステロン症という確定診断にはなる。ただし、アルドステロン濃度が高くない。アルドステロンのカットオフ値は病院によって異なるが当院では150となっている。あなたの場合、それより低い。だから積極的に手術を勧められるような数字ではない」
「わかりました。それではこれ以上の検査はしないことにします。納得いくまで検査をしていただいてありがとうございました」
「・・・・・」
「もう一度W先生の診察を受ける必要はありますか?」
「いや、手術しないと決めたのであれば、これで終わって構いません」
「ではそうさせてください」
T医師は黙って小さく頷いたか頷いていないかのような微妙な動きを見せた。
これまでのT医師の一連の発言の行間には “あんたは原発性アルドステロン症なんかじゃないよ、わざわざ検査なんかするなよ”といった言葉が見え隠れしていた。
しかし、結論としてC病院の検査結果は原発性アルドステロン症陽性だ。
だから、T医師としては面白くないのだろう。
この人はとってもわかりやすい医師なのだ。
「ところで先生」
「なんですか?」
「W先生にアルドステロン濃度を下げる薬を飲んでみてはどうかと勧められました。それを飲んでみようかと思うのですが・・・」
「そうですか。アルダクトンAですね。では処方しておきましょう」
「あと、今飲んでいる降圧剤も残り少なくなっていますので・・・」
「わかりました。じゃあ、まとめて出しておきます」
カルデナリン、ジルチアゼム塩酸塩Rに加えてアルダクトンAを処方してもらい、最後の診察が終わった。
私はT医師に軽く頭を下げて診察室を出た。
半年にわたる長い検査だった。
結論として原発性アルドステロン症であることに確定。
でも、手術は勧められなかった。
当初は想定していなかった結論に落ち着いた。
何度も言っているように私が受けた検査はデタラメだった。
しかし、唯一、大きな問題がなかったカプトプリル負荷試験で陽性という判定が出た。
数字としては微妙なのだが、とにかく陽性という結果だ。
だから、おそらく私は原発性アルドステロン症なのだろう。
でも、だからといってこれ以上この病院で検査、手術をする気はない。
この病院で手術なんかしたら右と左の副腎を間違えて取られてしまうかもしれない。
あるいは患者の取り違えで全く関係のない、例えば胃を全摘出されてしまうとか、そういった信じられない医療ミスに遭うかもしれない。
いや、だって現に信じられないミスばかりに私は遭遇してきたのだから。
では、他の病院でもう一度検査をやり直すか?
いや・・・それはない。
これ以上、この病気のためにお金と時間を使う余裕はない。
おそらく他の病院でちゃんとした検査を受けても、やっぱり“微妙な陽性”という結果になるのだろうから。
そして、それは積極的に手術をすべき状況ではないのだろうから。
とにかく今後は、突然死しないように健全な生活習慣を守り続けていこうと思う。
長生きするためにはそれしかない。
お酒の量を減らそう。
塩分を控えよう。
できるだけ歩こう。
他にもなにかと健康的なことを習慣にしていこう。
そんなことを密かに決意しつつ、私は病院を後にした。