「原発性アルドステロン症のスクリーニング検査」でお話ししましたように、原発性アルドステロン症のスクリーニング検査(ふるい分け検査)として血液を採取し、血漿アルドステロン濃度( PAC)と血漿レニン活性(PRA)の比(ARR)を測ります。
そしてARRが200以上だとスクリーニング陽性という判定になります。
* 「ARR200以上」というカットオフ値は日本高血圧学会・日本内分泌学会が奨励している基準であり、病院によって変わることがあります。
ですが、血漿アルドステロン濃度( PAC)と血漿レニン活性(PRA)の測定はそう簡単なことではありません。
これらの測定値は種々の採血条件によってコロコロと変わってしまいます。
具体的には、服用している降圧剤の種類、採血の時間、採血時の空腹度、安静の程度によって影響を受けるのです。
ARR測定のための採血条件
病院によって多少異なることもあるようですが、大体以下の条件のもとで採血がなされます。
1 降圧剤による治療を始める前に採血する。
降圧剤をすでに服用している患者の場合には、
利尿剤、アルドステロン拮抗薬は少なくとも4週間は休薬させる。
ARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬も約2週間休薬させる。
*ただし、検査前とはいえ血圧コントロールも当然しなければならないので、
必要に応じてホルモンへの影響が少ないα遮断薬やCa拮抗薬を服用させることはあります。
2 早朝(午前8時~9時)に実施する。
3 朝食は抜く(空腹の状態で採血する)。
4 ベッドに寝た状態で30分以上安静にした後で実施する。
また、上記の条件下で測っても正確な値がでるとは限らないようです。
ですので、判断が難しい数値が出た場合には、複数回にわたって採血して検査することもあります。
結論として、採血によるARRの検査はあくまでもスクリーニング(ふるい分け)にすぎず、精度の高い診断ではないということでしょう。