原発性アルドステロン症が高血圧を引き起こすということは「本態性高血圧?二次性高血圧?そして原発性アルドステロン症とは」に書いたとおりです。
最近ではテレビなどでも高血圧の原因としての原発性アルドステロン症が特集されることも多く、世間一般の人々にもこの事実は認知されるようになってきています。
しかし、原発性アルドステロン症の合併症は、実は高血圧だけではありません。
原発性アルドステロン症は各種の臓器障害をも引き起こすというデータが報告されているのです。
原発性アルドステロン症の合併症としての臓器障害
原発性アルドステロン症によって引き起こされる臓器障害には様々なものがありますが、大きく2つのグループに分けることができます。
① 腎臓を介して間接的に引き起こされる臓器障害と、②心血管系に対し直接的に作用して引き起こす臓器障害です。
① 腎臓を介して間接的に引き起こされる臓器障害
副腎からアルドステロンが過剰に分泌されることで高血圧を引き起こします。
そして、高血圧が原因となって血管、心臓、脳、腎臓の障害を引き起こします。
②心血管系に対し直接的に作用して引き起こす臓器障害
過剰に分泌されたアルドステロンが、腎臓、心臓、血管などに直接的に作用して腎不全、心不全、心肥大、不整脈、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤といった合併症を引き起こします。
そして、この直接的作用による臓器障害が発生するリスクは、通常の高血圧患者の3~6倍高いという海外のデータが報告されているそうです。
そして、原発性アルドステロン症患者の約50%はこの種の臓器障害を引き起こすというデータも報告されています。
参照
「患者さんのための原発性アルドステロン症Q&A 」
筋力低下や手足のしびれ
臓器障害以外の合併症もあります。
副腎からアルドステロンが過剰に分泌されると必要以上にカリウムが排出され、低カリウム血症を引き起こします。その結果、体内のカリウムが足りなくなり筋力低下や手足のしびれを引き起こします。