本態性高血圧と二次性高血圧

 

高血圧も大きく分けて「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2種類に分けられます。

 

二次性高血圧とは原因が特定できる高血圧です。

 

本態性高血圧とは原因が特定できない高血圧です(遺伝や生活環境から引き起こされる高血圧であろうと考えられてはいるようです)。

 

従来は、高血圧患者のほとんどは本態性高血圧と考えられていました。

そのため、高血圧と診断されたら、即「降圧剤の処方」がお決まりのパターンでした。

 

しかし、最近では実際には多くの二次性高血圧患者が存在することがわかってきたのです。

そして、その二次性高血圧でも特に注目されているのが「原発性アルドステロン症」といわれる病気です。

 

原発性アルドステロン症とは?

 

二つの腎臓の上には、それぞれに「副腎」という臓器があります。

「副腎」では、血圧や代謝を調整するためのホルモンが作られています。

副腎で作られるホルモンの一つに「アルドステロン」というホルモンがあります。

この「アルドステロン」というホルモンは体内の水と塩分のバランスを調整する役割を果たします。

人間が食事から摂った水と塩分を、生きていくために必要な量だけ体内に貯めて、血圧を丁度いい状態に保つ働きをするのです。

これが健康な副腎の機能です。

 

ところが、副腎に腫瘍(小さなおでき)ができると、アルドステロンが過剰に分泌されるようになります。

アルドステロンが過剰に作られると、必要以上に水と塩分(ナトリウム)を体内に取り込み、一方で過剰にカリウムを尿に排泄するようになります。

その結果、高血圧となり、低カリウム血症を引き起こします。

これが「原発性アルドステロン症」です。

 

クラスに一人は原発性アルドステロン症?

 

この原発性アルドステロン症はごく稀な病気だと考えられていました。

しかし、最近の研究により、高血圧患者の5~10%程度は原発性アルドステロン症であることがわかってきました。

日本人の推定高血圧患者数は約4000万人。

およそ3人に一人が高血圧と推定されています。

ということは日本人の30人~60人に一人が原発性アルドステロン症患者ということになります。

 

ざっくり言うと、クラスに一人は原発性アルドステロン症患者がいる?!

 

自分や家族が原発性アルドステロン症を患っていないかを、一度は疑ってかかった方がよさそうです。