まずはメモの一番上に記載されているカプトプリル負荷試験の判定結果を見た。
記載されている数字は以下の通りだ。

 

0 60 90min
PRA(ng/ml/hr)

 

0.3 0.3 0.3
PAC(pg/ml)

 

113 98.7 115
ARR 376.6 329 383.3

 

 

私は手に持っていた「もっとわかりやすい原発性アルドステロン症診療マニュアル」と照らし合わせながらこの数字の意味を確認した。

 

カプトプリルという降圧剤はレニン活性を促進する作用を持つ。
健常人であればカプトプリルを服用することによってアルドステロンの値が下がり、レニンの値が上がる。
しかし、原発性アルドステロン症であれば、カプトプリルを服用してもアルドステロンは下がらずレニンも上がらない。

この原理を利用した検査がカプトプリル負荷試験だ。

原発性アルドステロン症の疑いのある患者にカプトプリルを服用させて、その後のアルドステロンとレニンの値の変化を測定する。
そして、服用してから60分後、90分後のアルドステロンとレニンの比(ARR)が200以上であれば、原発性アルドステロン症陽性という判断になる。

カプトプリル負荷試験の原理・実施方法・副作用

 

そう。
着目すべきは60分後と90分後のARRの値だ。

 

 

もう一度メモをみた。

ARR・・・

 

ここだ。

 

0 60 90min
PRA(ng/ml/hr)

 

0.3 0.3 0.3
PAC(pg/ml)

 

113 98.7 115
ARR 376.6 329 383.3

 

 

60分後のARRは「329」

90分後のARRは「383.3」

 

 

陽性だ

 

 

「先生。カプトプリル負荷試験の検査結果ですが・・・」

「はい」

「60分後も90分後もARRが200という基準を上回ってますね」

「そうですね」

「ということは陽性という判断ということになりますよね」

「そうですね。60分後のARRは329。90分後が383.3。これだけ上回っているわけですから陽性という判断になります」

 

やはり陽性か・・・。

 

これはいい。
この試験はこれでいい。

 

しかし、問題はそれ以外の検査だ。