局在診断法とは

 

スクリーニング検査、機能確認検査を実施した結果、原発性アルドステロン症「陽性」という判断がなされたら、次のステップとして副腎の病変(腺腫、過形成)が左右どちらの副腎にあるのか、あるいは両方にあるのかを診断する必要があります。

そのために実施する検査を「局在診断法」と言います。

 

そして、局在診断法を実施した結果で、その後の治療方法が決まります。

すなわち、副腎の片側に腺腫が発見された場合は副腎摘出手術を、
それ以外の場合(過形成又は両方の副腎に腺腫が発見された場合)には薬物治療という選択になります。

詳しくは「アルドステロン症の種類~腺腫による一側性と過形成による両側性」にて

 

局在診断法の種類

 

局在診断法は4種類あります。

 

1 副腎CT

2 MRI

3 副腎シンチグラフィ

4 副腎静脈サンプリング

 

それぞれの診断法にはメリット・デメリットがあります。

そして、メリット・デメリットを総合考慮した結果、まず①副腎CTをして、それから④副腎静脈サンプリングを実施するという病院が多いようです。

 

各種局在診断法の比較

 

それでは上記4種の局在診断法をざっくりと比較してみます。

 

1 副腎CT

 

メリット
①実施が容易
②解析度が優れている

デメリット
①放射線の被曝を伴う
②腺腫を確認できてもアルドステロンの生産量は確認できない
(つまり腺腫がアルドステロン過剰分泌の原因になっているかどうかはわからない)
③造影剤を使う場合には副作用(かゆみ、発疹・発赤、嘔気などが)が生じうる。

費用 約1万円

 

2 MRI

 

メリット
①実施が容易
②放射線の被曝がない

デメリット
①CTに比べると解析度が劣る
②腺腫を確認できてもアルドステロンの生産量は確認できない

費用 約1万円

 

3 副腎シンチグラフィ

 

メリット
腺腫の機能(どれくらいアルドステロンを生産しているか)がわかる

デメリット
①前処置、検査期間が長い(前処置に約1週間、検査期間は約10日間)
②診断の精度が低い

費用 約2万円

 

4 副腎静脈サンプリング

 

メリット
腺腫の機能(どれくらいアルドステロンを生産しているか)がわかる

デメリット
①侵襲を伴う(副腎静脈にカテーテルを挿入)
②実施方法、技術水準が一定でない
③3日間程度の入院が必要

費用 約7万円
参照「もっとわかりやすい原発性アルドステロン症診療マニュアル

 

以下のページにて個々の検査の詳細をお伝えします。

副腎CTのメリット・デメリットと費用
副腎シンチグラフィの原理・期間・費用
副腎静脈サンプリングの目的・実施方法・費用・合併症

 

受診前に病院に確認しよう

 

病院ごとに実施している検査法は異なります。

例えば、副腎シンチグラフィを実施している病院は少ないです。
副腎静脈サンプリングはどの病院も実施するでしょうが、実施方法が一定ではありません。
副腎の全摘出ではなく、腺腫の部分切除を前提としたサンプリングを実施する病院もあります。

ご自身が希望される検査、治療を明確にしたうえで、診断を受ける前に直接病院に確認されることをお勧めします。